瓦屋根の固定方法が令和4年1月1日から新築時等は強化されます
こんにちは。街の屋根やさん水戸店です。
本日は、瓦屋根の新築等時の固定方法の強化について書いていきます。
と言うコラムを書かせて頂きましたが、国土交通省さんから少し具体的な
発表がされてきたので、今回は第二弾としてお伝えしていきたいと思います。
また、そんな法改正に伴って便乗してくるだろうと想定される問題についても
業界人の立場から私見を綴っていきたいと思います。
対象となる屋根材
令和元年房総半島台風の強風被害による教訓から、瓦固定力強化が推進されました。
令和元年の台風は、全国にその爪痕を残し、特に房総半島(千葉県)には甚大な
被害をもたらし、ゴルフ場の支柱倒壊や千葉県知事の行動も連日ニュースで
取り上げられた事は、多くの皆様が記憶に残っているのではないでしょうか。
改定である令和4年1月1日からを、早いと思うか?遅いと思うのか?は別として
年々巨大化する自然現象への事前対策はとても良い事だと私は思います。
では、国土交通省さんが発表している瓦屋根の固定力強化が求められる屋根材です。
粘土瓦(ねんどがわら)
陶器瓦・瀬戸瓦・三州瓦・いぶし瓦
釉薬瓦も粘土瓦の一種です。
セメント瓦
セメントを主成分とした屋根材
軽量瓦ROOGAはセメント瓦の一種。
など、屋根を新しく瓦で葺く場合のみに適用になる改定案です。
但し、既に建築済みの全ての瓦屋根住宅で、改定後に費用を掛けて
行なって下さいと言うわけでありませんので安心してください。
新築時等とは・・!?
今日現在(令和3年4月8日記載)は、新築時等が対象です。
新築時等と言うのが、少し分かりづらい発表ですので少し解説します。
国土交通省の発表は、以下の通りです。
【対象工事】 | 【国土交通省さんの記載】 |
新しく建築される瓦屋根 | 瓦屋根の固定方法(緊結)は、改正後の基準を講じる必要がある |
既存住宅に新しく増築する瓦屋根 | 瓦屋根の固定方法(緊結)は、改正後の基準を講じる必要がある |
古い屋根を、新しい瓦屋根に変更 | 改定後の基準を講じる事が望ましい |
掻い摘んで解説すると、新しく建築される住宅での瓦屋根は改正後の基準となるが
古い屋根を新しい瓦屋根に変更する、いわゆる『瓦屋根葺き替え工事』の際には
改定後の基準を講じるのが望ましい!と少し強制性を失っている発表です。
関連記事屋根葺き替え工事て詳しく解説
本来は、ある程度の強制力を持たせたいのだとは思いますが、そこはこの後に
少しずつ解明していきたいと思います。
⇊ 瓦の葺き替え工事 ⇊
古い瓦を撤去
新しい瓦を屋根下地から葺き替える
改定後でも、瓦屋根の葺き替えを強制するものではありません。
無理にお金を掛けて、古い瓦屋根を葺き替える強制力はない改定案ですが、
恐らく瓦固定強化の法改定が近づくと、便乗してオーバートークをする業者が
出てくるだろう事は、業界人として容易に想像がつくところです。
例えを上げるとすれば
『法改正に基づき、瓦屋根の固定方法を確認しに来た』
『今お住いの瓦屋根は、法改正の固定方法ではないので葺き替えなきゃだめ』
等、もっともらしい新聞記事を見せて不安を煽る業者が出てくると思いますので、
皆様は十分ご注意下さい。
便乗した、悪質商法に注意して下さい!
★ご注意下さい★
建築済みの瓦住宅で、
瓦の工事を強制するものではありません!
瓦工事を強制する業者の勧誘を受けたら、信頼できる業者に相談して下さい。
でも、やっぱり心配だから前向きに検討したい!と言うお客様
既に対策されている瓦屋根住宅もあります。
平成12年に、建設省告示があり、その告示に従った構造計算によって構造耐力の
安全が担保されている住宅は、既に対策が講じられていると思います。
※詳しくは、施工会社に確かめてみて下さい※
国土交通省が発表している令和4年からの瓦屋根の緊結方法は、強風対策を講じる
必要があると書かれており、その緊結固定法も明確に規定されています。
では、具体的にどのような緊結法なのか?画像で解説して行きます。
改定前の基準緊結方法
改定後の基準緊結方法
改定後の緊結方法は、部位毎に指定の緊結方法が規定されています。
昨今の建築時の瓦屋根には既に用いられている緊結方法ですが、
令和元年房総半島台風で被害を多く受けたのは古い瓦屋根です。
個人的には、古い瓦屋根住宅の対策をどうするかを考えて欲しいと思いますが、
強制力を持たせれば消費者に負担が掛かるので、なかなか一筋縄にはいかない
のだろうと思います。ただ、一定の条件下において耐風診断の補助金や耐風性能を
要する瓦の葺き替えには国と地方で補助金を出すとのアナウンスもありますが、
少し分かりにくい説明なので、今後明確になった段階で再度お伝えします。
平瓦材の選定は、地域によっては防災瓦のみの選択になります
新築・増築・瓦屋根への葺き替え時のみのお話です。
昨今の瓦工事と言えば、防災瓦や軽量瓦が主流となってきていますが、今後
更に普及が加速する事になりそうです。
改定後の瓦屋根工事は、地域による基準風速による緊結方法が記されています。
※国土交通省さんの配布資料を引用しています※
【基準風速】 | 【改正後の平部の緊結方法】 |
30m/s | 瓦一枚につき、くぎ等1本で緊結 |
32~36m/s | 瓦一枚につき、くぎ等1本で緊結・F形瓦は、くぎ2本で緊結 |
38~46m/s | 防災瓦以外は使用不可、各形瓦一枚につき、くぎ1本で緊結 |
基準風速が38m以上の地域での瓦屋根は、防災瓦のみの選択となるようです。
街の屋根やさんに限らず、屋根を瓦屋根に葺き替える場合に屋根業者が推奨するのは
地震や台風に強い防災瓦や軽量瓦です。
瓦の意匠性よりは、機能性で選択されているのが昨今のお客様の動向ですので、
ここで一息入れて、防災瓦とは何かを少し解説しておきますね。
防災瓦とは
防災瓦は、斜め上の瓦と噛み合わさりロックする瓦です。
昨今の自然災害で、各メーカーさんでの開発が進んでおり、耐風対策や地震対策に
加えて、防水壁を施した防水性の高い新防災瓦も市場で流通しています。
軒先瓦には、耐風釘が打たれます
更に、二本の釘でしっかり固定
メーカーさん毎に、施工基準も厳しく設けられています。
屋根材メーカーさんによっては施工資格制度を設けている場合もあります。
年々進化を続けている防災瓦も、施工基準を順守して始めて機能を発揮します。
瓦施工業者の選択もお客様にとっては大切ですので、しっかり選択して下さい。
消費者さんは、負担増になる可能性があります
強化棟金具で耐風・耐震対策
棟瓦は、ビス止めが必須となります
屋根工事は、材料+手間です。
瓦屋根の固定力強化は、昨今の自然災害を鑑みればとても良い事ですが、
その分、屋根工事の際に消費者には負担増になる可能性が考えられます。
安全の為に瓦の固定力を増すのは大賛成ですが、屋根工事は材料+手間が基本です。
その分の材料費も職人手間も増える事になりますので、施工単価が上がる事は
容易に予想されます。
瓦の緊結方法の強化は、まだまだ分からない事が沢山あります。
瓦屋根の象徴となる屋根の頂点に位置する棟は、まだまだ高く積んである地域も
沢山あります。このような棟瓦の工事は大幅な負担増になると思います。
また、棟が不具合を起こした場合、棟だけを葺き替えればそれで済むのか?など
まだまだ多くの疑問が業界人でさえあるのが現状です。
また、後付け雪止めを付ける場合も負担増に繋がります。
全数緊結で瓦を固定してしまうと、後付け雪止めを施工しようと思った際に
問題が生じるはずです。
瓦の後付け雪止めは、瓦を持ち上げながら差し込んで引っかける形で挿入します。
平瓦(桟瓦)を緊結すると、安易に持ち上げる事ができず、防災瓦の場合は
強引に持ち上げるとロック爪が折れてしまう恐れがあります。
防災瓦を少しずつ様子を見ながら行えば、その分時間が掛る事になります。
瓦の全数緊結後の後付け雪止めは負担増になる事が想定されるので新築時や
増築時・瓦屋根の葺き替え工事の際に同時に行うようにして下さいね。
今後のスケジュール
※国土交通省さんの配布資料を引用しています※
瓦の緊結方法の具体案は、まだ全てが発表されたわけではありません。
改正案の整備を行っている省庁さんも大変だとは思いますが、我々屋根業者も
正確な学びを得て、お客様に分かり易く情報を発信しなくてはなりません。
国土交通省さんから今後のスケジュールが配布されましたので、講習会にも
参加し、お客様に有意義なご案内ができるよう努めたいと思います。
日本の屋根の景色と言えば、情緒のある『瓦』のイメージですね。
瓦緊結方法の改正案によって、今後日本の屋根はどの様な景観になっていくのか?
業界人として、お客様のニーズを見守りたいと思います。
まとめ
屋根工事の御相談は、街の屋根やさんへ
屋根工事は、いつ何時でも同じ施工方法ではありません。
正確に情報をキャッチし、正当な価格で品質の高い屋根工事を推奨するのが
街の屋根やさんです。
屋根工事をお考えの際には、街の屋根やさんを思い出してくださいヽ(^o^)丿